仕事においては一貫性が大切だと思う - 社会人3年目を迎えて思うこと

社会人3年目を終えようとして、いま感じていること

ずいぶん久しぶりのブログ更新になってしまいました。

最近は仕事が充実していて、「もしかしたら読者さんがどこかで目にするかもしれない仕事」も増え、いいお客さんにも恵まれてあれこれやっています。

そうした中、「27歳のいま、仕事について感じていること」についてふと語りたくなりました。

「自分の営みそのものが注目を集めている、研究の対象になっている」というような方が世の中にはいます。アーティストさん、スポーツ選手、映画監督などはそうですね。

立派な仕事ができるようになりたいと考えた時、誰もが一度はそうした仕事にあこがれるのではないでしょうか。かくいう僕もそうで、つい数年前まではゲームデザイナーになりたいと思っていました。

他人から研究されるほどの仕事であれば、それは価値あるもののはずです。

では、研究される価値のある仕事とはどういうものか?

「他人に真似できない技術」もあると思うけれど、僕は最も肝心なのは「一貫性」だと思っています。

なぜ一貫性は仕事において重要か

仕事を研究するという時に、研究する側は何を期待するのかというと、その人の考えを理解したいとか、技を盗みたいとか、いろいろな答えがあると思いますが、一つに「その人のすることを予測したい」という本能があるような気がします。

予測できる、というと、「単純すぎて面白くない」ものかと思われたりもしますが、実際には予測可能であること、人に予測をさせることはとても重要です。

例えば、お笑いの世界に「テンドン」という技法があります。同じ言葉を繰り返し使うことで、笑いを取る手法のことです。最近でいうと、キングオブコント2019のどぶろっくさんのネタなどは「いい油で揚げたテンドン」と評価を受けたりしていました。

テンドンにおいて何が笑いに繋がりやすいかというと、「お客さんにそのフレーズを待たせる」ことにポイントがあると思っています。ネタ時間の中で「自分たちはこういうことをやります」と宣言して、それを好きになってもらう。

同じことを、ちょっとずつ設定を変えながら繰り返すからこそ、親しみやすさや安心感につながる訳ですね。

----ここで話は変わりまして。----

僕は、仕事において大切なことは、何を置いても「お客さんがつく」ということだと思っています。

お客さんについてもらい、離れさせないために大事なことは、「安心していただくこと」です。安心感を与えるために大事な要素の一つが「この人は一貫して○○をしている」と感じていただくことであり、その行為にブレがないということだと思っています。

そして、そのブレない行為の裏側には「好き」や「こだわり」があって然るべきだと僕は思います。人の行為はメンタルの影響を受けますし、ウソをついたり自分を騙しているときは「なんだかおかしいな」と相手を感じさせるものです。いかなる時も一定以上のパフォーマンスを出すためには、お客さんの中に自分の働きがいを見つけるでもよし、仕事の中に見つけるでもよし、あるいはそれらを組み合わせながら、自分なりの「働く理由」と「スタンス」(ここで価値を出すという決め事)を持っておくことが重要だなぁと思います。

そのような一貫した積み重ねに、何かしらの専門性がプラスされた結果として、「研究されるに足るほどの仕事」に大成するのだと思っています。

自分の仕事が誰かに研究されること、これが一つの「良い仕事」の基準になる

研究というと大掛かりなものに聞こえるかもしれませんが、つまりは「何かをよりよく理解するための営み」のことです。イラストを描くためのデッサンも研究ですし、将棋で勝つための活動も「定跡の研究」です。もしかすると対話も研究だと言えるかもしれません。つまりは「これを(この人を)よりよく知ることが、自分にとってプラスになる」と思い、行動することはすべて研究だと思います。その裏側には常に「素直な関心」があり、関心の粋としての行為が研究だとも言えるでしょう。

自分自身を研究をさせた結果、その人を「誰よりも深い理解」(実際にはそうでなくとも、一種の自信として。うぬぼれと言っても良いですね)に到達させると、それ自体が離脱の障壁になります。つまり、「自分はこれでなくてはいけない」という思い込みに至らせることができる。「ハマる」と言い換えても良いと思います。これが実に「仕事をする」上で好都合なのですね。お客さんを”自分オタク”化させることが出来たら、そう簡単には離れられなくなりますから。

実は優れた仕事(works。作品)はたいていこのプロセスをやっていると思います。ハマらせて、自分のオタクになってもらう。一貫して自分たちのものを買い続けていただく。そのためにはそれだけの仕事の粋を凝らすことが必要で、その上で「一貫して良いものを作り続ける」という行為、そして信頼が大切になるのだと思います。

ここからの13年間の決意表明として

じつは今の仕事に就くとき「とりあえず、3年頑張ろう」ということを考えていました。特に3年という数字に理由はありません。「石の上にも三年」と言いますし、覚えやすかったというだけです。

実際、この考えは功を奏したような気がします。職場に3年在籍したことで一定の専門性や実務力がついたし、お客さんにも顔を覚えてもらい、キャラも確立されてきました。一緒に仕事をさせていただくパートナーさんにも恵まれ、なぜかSNSのつながりから仕事や仲間を創出することにも成功してしまいました。嬉しい誤算と言っていい成果がいろいろと上がってきています。

そうした中、今の視座は「次の13年くらい」に置こうと思っています。現在27歳で、ようやく一人の大人として、自分の意志で行動し、何かを目指せるだけの地力がついてきたという実感みたいなものがあります。40歳ぐらいまでに何が出来るかと考えると、今は自然とワクワクします。なので、向こう13年くらいのことを考えて今後は動こうと思っています。

そうした中で、僕が長期的にやりたいのは「自分を研究してもらう」ということであると思い至り、1年ぶりの投稿はこのようなpostになりました。

実際には、まだそこまでの仕事はできていません。 それよりも、まずは慕ってくれる後輩を一人、作るところからだと思っています。

ですが、自分自身が骨の髄から「一流の仕事を研究するオタク」だったこともあり、これはそれほど悪い目標ではないような気がしています。