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小説プロットの作り方+わたしが原稿執筆初期に心掛けていること

新年度の引越し作業が済んで時間が出来た折、pixivisionの「小説の書き方特集【プロット】」というまとめを見つけて読みました。今はこの手のセオリーをあまり気にせず創作をやっているので、他の方がどういう作り方をしてるか興味深く思いました。

www.pixivision.net

ただ、未経験者が小説を執筆するにあたりクリティカルな「プロット制作に区切りをつけて執筆に踏み切る」タイミングについて、もう少し実感の持てる記述があると嬉しいと思いましたので、そのあたりについて補足的に書いてみたいと思います。

前提1:わたしの物書き経験値

  • 小学生の頃、『星のカービィ』の二次創作をWebで見ていたのをきっかけに小説(らしきもの)を描き始める
  • 中学生の頃、原稿用紙35枚程度の小説(一次創作)を完成させ、某市の生徒対象の小説賞を受賞
  • しばらくブランクがあり…(その間はどちらかというとテクニカルライティングを磨いていた)
  • 最近はSplatoonの二次創作にハマり、Webで数作品を公開、小説同人誌2誌を刊行

前提2:わたしの作った小説

3つの場所に分散して公開されています。

BOOTHは只今、在庫がありません。GW頃の受注開始を見込んで作業中です。

BOOTHでの受注を再開しました。

後述する「プロット作り~原稿執筆の流れ」を一番よく実践していたのは、BOOTHで販売予定の小説同人誌に収録した作品です。

以下、本題です。

わたしが小説プロットとして作っているもの

多くの物書きさんが手書きでのプロット作成をやっているみたいですが、わたしは原稿とおなじテキストエディタでプロットを管理しています。

上記pixivのリンクからアクセスできる『ナワバリバトル前夜談』という4,225文字の短編では、以下のようなメモしか書きませんでした。

ナワバリバトルをしてないイカたち(または、する前のイカたち)
青春、アウトロー

夜の路地裏か、学校の裏みたいなところで少年少女が二人で語り合うイメージ
ちょっと不良な子供の背伸びしたイメージ
イカ社会の描写? 学校はあるのか、家庭はあるのか

ここから直接、原稿に仕上げていきました。

直近で書いた『Flyer - 烏賊は夕空に揚がりて』という約33,000字の中編では、執筆と並行して作っていたプロットファイルに3,000字くらいの記述を行いました。

内容は以下の項目に分かれています。

  • タイトル案
  • テーマ
  • キャラクター
  • 舞台
  • 小ネタ
  • キー設定
  • キービジュアル
  • 未定事項
  • プロット

「キャラクター」以降はすべてネタバレになるので、「テーマ」部分だけ公開させていただきます。

【テーマ】
・主人公の住む「街」を描く。ハイカラシティとは異なる、どこにでもある普通の街。その住人として暮らす、科学者の主人公。
→海外の田舎町の風情なんかが参考になるかも。自分が体験したことのない世界の、脚光を浴びない街のすがたを、そのままに描く。
→住んでいるのがインクリングたちであれば、それだけでおもしろい。

プロット作りから原稿執筆初期への移行について

「プロット作り」から「原稿執筆」への移行をスムーズに行うために、わたしが心掛けていることを紹介してみます。

キャラシートづくりに時間をかけない

わたしは、あまりかっちりしたキャラシートを作りません。

頭の中にぼんやりと浮かんでくる「こういうキャラが書きたいなぁ~」という欲求は、忘れないうちにメモしておくようにしていますが、フォーマットのようなものはありません。

結局のところ、キャラクターの魅力は完成稿においてのみ確認できるものです。出来る限り早くその地点へ到達できるよう、事前準備にはあまり時間を掛けたくないという気持ちがあります。

キャラの個性について、忘れないために文章のかたちにしておくのは、一人に付き2行~4行程度です。後は、キャラ同士の関係性とか、書きたいシーンを書くために必要な付帯的な情報をメモしておく程度です。

作品を象徴するシーンから書く

これは前段落の内容を補足するものでもあります。

時系列順(完成稿の掲載順)に書くことと、キャラを立てることの両立はなかなか難しいので、「自分の頭の中にある、その作品らしさを象徴するシーン」から書いています。

そういうシーンはたいてい時系列上で飛び飛びにあるものなので、初期の執筆内容は必然的に、ストーリー上では寸断されることになります。

原稿は捨ててもいい

時系列順に書かない副作用として、最終的な作品の流れに乗らなかったり、設定に一部変更が生じてしまってお蔵入りになる文章も出てきます。

3万字の作品を書くのに、5,000~1万字分位そういう「副産物」が出来ることもありますが、それも織り込んでスケジュールを立てます。ロールケーキの端っこみたいなものです。(端っこにしては大きいですけど。)

その時期に書く文章は、絵でいうところのスケッチ程度の精度でかまわないので、とにかく「そこにある事物」をたくさん想像して、イメージを膨らませて文章化してしまうことです。

とにかく文章のかたちにしてしまえば、その作品世界にある事物を自分の手で創り出せます。そうすることで、「何があって」「何がない世界なのか」(さらに言うと『自分が本当は何を書きたいのか』)明確化されていきます。

筆が止まったなら、自分の想像力が行き届いていない死角や、ストーリーを推進していくのに必然性の足りていない箇所があることに気付きます。そのことが知識を拡充したり、キャラの設定を練り直したり、ストーリーを構成しなおすモチベーションになります。

映画にもNGがあることですし、小説にも使われない切れ端が出来てしまってもいいのではないでしょうか。…ダメかな?

テーマを決めたらすぐ書いて、小説らしい体裁をつくる

わたしは作品を書くときに、まずテーマ(書きたいこと)を先に決めます。そして、冒頭に述べたような簡易的なプロットを作るところから始めます。

この段階で起承転結をきちんと作る方が多いようですが、わたしはストーリー後半の展開を、書き始めた段階では決めません。

結末はFIXしていることもあれば、FIXしていないこともあります。正直なところ、テーマが浮かんだときの創意を逃さないのに精一杯であり、前半部分を少しでも早く書き進めたいという気持ちに支配されています。

構成が決まっていなくても執筆は可能です。エンジンになってくれるのは「作品テーマ」か「キャラクター」あるいは「その両方」です。結末は、仮に決まっているとしてもあまり意識せず、その時書くべき情景や出来事の表現に力を尽くします。

実のところ小説を書くという行為はけっこうせわしなくて、自分の知らない領域や場所や業界のことをたくさん調べねばなりません。わたしの場合、Webと書籍と現地での情報収集がそれぞれ必要になったことがあります(+自分自身の経験)。

そうして出来上がった原稿のボリュームそのものが「小説」として成立するための器になります。人間で言えば五体と五臓六腑みたいな感じでしょうか。

それがつまりどんな人なのか(どういうストーリーと結末を辿るのか)はだいぶ人らしい形になってから改めて与えてあげればよく、まず十分な密度と体積を持たせることが肝心です。(いっぱい栄養を送ってあげることです。)

おわりに

「プロット作成」と「執筆」には明確な前後関係がありません。執筆しながらプロットを修正していくこともしょっちゅうです。そのあたりの綯交ぜ感が伝わればな、と思い、この記事を仕上げました。

プロットの方法論というのとは少し違いますが、小説は「パッションを冷まさない内に書く」のが一番と思います。

より具体的な数字を紹介したいのですが、『カイジ』等の漫画作品を世に輩出した福本伸行先生は、どんなアイデアも「3か月以内に描く」ことを尊重したそうです。「それ以上経つとどんなアイデアもつまらなく思えてくる」と、ヤングマガジン掲載のインタビューで述べていました。

プロットは、瞬間的に生まれる「これが書きたい」という熱を保存しておくための場所、くらいに考えておくのが良いかもしれません。それがのちの執筆に役立つように整理しておく方法論があるだけです。