Ittle Dew(イトル・デュー)のゲームジャンルを、「押し物パズル」と命名したい

走って、押して、パズルを解く

10月31日の記事でも少し紹介しましたが、

WiiUダウンロードソフトのIttle Dew、邦題は「イトル・デューの伝説 失われた島と謎の城」をプレイしています。

パブリッシャーは和紙を使った飛び出す絵本風アドベンチャー「TENGAMI」などのパブリッシャーとしても知られるRainyfrog、

デベロッパーはスウェーデンのLudosityという会社。

Ludosityは「Ludosity makes kick ass games.」を標榜しており、PCやモバイル向けのパズルゲーム等の制作実績があるようです。

Ittle Dewは、もともとPC向けゲームのようで、

それを日本向けにローカライズし、合わせてタイトルも変更したということのようです。

(わたしもタイトルを見て気になったクチですから、一定の支持は得ているようです。)

このゲームのポイントはいくつかあります。

  • 「ブロックを押す」動作を基本とするパズル
  • 俯瞰の視点による戦闘アクション
  • やんちゃで大雑把な主人公(♀)と脇役の掛け合い

まずはパズル面から紹介していきましょう。

主人公の歩みは自在だが、ブロックの動きは厳格

主人公のイトルは、俯瞰2Dのフィールドを自由に動き回らせることができ、ボタンを押せば棒切れで殴るといった戦闘アクションが可能。

このゲームの目的は「流れ着いた島から脱出する」ことで、

脱出方法を知っているという男と取引するため、お城にあるお宝を見つけようとイトルは奔走します。

ゲームの進行は基本的に「何らかの方法で封印されたドアを開けていく」ことであり、いくつかのパターンがあります。

  • 複数のスイッチを同時に押す
  • 複数のたいまつに火をつける(または、火を消す)
  • 敵を全滅させる

「スイッチを押す」パターンであれば、イトルが上に乗る事で一つスイッチを押せますが、

二つ以上あるスイッチを同時に押す必要があることがほとんどであり、その場合近くにある「ブロック」を活用することになります。

イトルの歩みは自在であるのに反し、ブロックは見えない枠で区切られたマス単位で、以下のルールに則って動きます。

  • 上下左右に1マスずつしか動かせない
  • 押すことしかできず、引っ張ることはできない
  • ブロックの上を乗り越えることはできない
  • 連なった2つのブロックをいっぺんに動かすことはできない

この遊びが実に面白い構造をしていて、いくつかの亜種のブロックやアイテムと合わせ、

多様な形をしたパズルが次から次へと出てくるため、ハマればなかなか中毒性があります。

通常のアクションゲームのように自由に動き回れる主人公と、決して例外を許さない厳格なブロックたちとが、

同じ画面に共存しているというのが独特の感覚をもたらします。

解けなかった場合の救済などは無いため、分からなければ永遠に先へ進めないところがシビアですが、

難易度の高い問題は進行に関係のないオマケとして出題されますから、さほどの心配はいらないでしょう。

全体的に、「ゼルダ」と似ていると噂されているこのゲームですが、

最大の差別化はこの「ブロック押しゲー」である所にあり、謎解きが一つのシンプルなルールに則り、特化しているという所です。

一つのルール上の表現を突き詰めたパズル作品集に、アドベンチャーの要素を付加したものと考えれば間違いはないかと思います。

アイテムはパズルとバトルの両方で活躍

この島唯一のお店、「アイテンのお店」で入手できるアイテムは3つ。わたしはそのうち「炎の剣」「ポータルの杖」までを入手しました。

これらのアイテムを前提にしたパズルが登場するため、解く際に使い道を一生懸命考えることになりますが、

各アイテムの入手ステージの最後に待ち受けるボス戦でも、攻撃したり、敵の攻撃を利用したりする際にアイテムが必ず役に立ちます。

パズルサイドでは思いもよらなかった形で役に立ちますから、けっこう気持ちよさがあり、

このゲームにバトル要素がある事の醍醐味をそこで味わうことが出来ます。

簡潔でハイセンス、かつ脱力感のあるやり取り

物語の随所で、主人公イトルとお供のヒンティー、そして出会った敵や障害物との会話が起こります。

もともとは英語のテキストのはずですが、これが妙にハイセンス。

開発元であるLudosityの、スタッフのキャラクターがしみ込んだものになっています。

パズルゲームの新ジャンル開拓なるか?

作中のパズルが完全新規のものかきちんと調べていないので、こんな事を言うのは何なのですが、

イトル・デューの伝説に登場するパズルの構造は、「押す」動作を中心とした新しい構造を作り上げているように思います。

よってわたしはこれを、「押しものパズル」と命名するとよいのではないかと思います。

実はわたし自身も、むかし似たような構造のゲームを考えたことがあり、

高校生のとき「Miner's Mattock」(鉱夫のツルハシ)というゲームをつくったりしていました。

わたしのゲームは「押す」動作と「砕く」動作を組み合わせ、最小手数でステージ内に散らばる鉱石を集めて持ち帰るという内容でした。

「イトル・デュー」でそれに近いアイデアのゲームを実際に遊ぶことができましたが、

「なるほどこんな感じになるんか」という思いであり、ちょっぴり感動体験でした。

Ittle Dewは現在「2」を制作中であるようです。


Ittle Dew 2 - Gameplay Trailer - YouTube