頭身の違いは世界観の違い 人型キャラのデフォルメについて
写実的ではない、ゲームのキャラクターモデル
絵描きになるような方や、それに準ずる技術を身に付けようと志す方は、
人物を描く練習をするとき、まずは徹底的にデッサンから身に付けるのだと思います。
人の顔は、体は、骨格は、どんな形をしていて、どこがどんな比率になって…ということを一つずつ覚えていくのでしょう。
わたしは身近に絵の上手い方がそれほどいないので(わたし自身は下手くそだし)、
デフォルメの効いたイラスト調の絵を描く方がどの程度写実的な絵の練習を積むか分かりませんが、
漫画やイラストの模写からはじめて、そういった絵は「あまり描いたことがない」「描けない」という方もいるのではないかと推測しています。
ゲームを遊んでいて登場する人型のキャラクターは、多くがデフォルメされていて、よく「頭身が低い」という言葉で語られます。
ゲームのビジュアルの魅力は動いてこそのものであることが多く、一枚絵や絵画のつくる魅力とはまったく違うのでしょうが、
ときに画面から醸される魅力的なすがたを、自分の手で紙の上に写し取ってみたいと思う事があります。
そして、それを見事にやってのける人がWebに結構いるんですよね。羨ましいなぁ。
拙作です。2Hで描いた下書きのため、見づらいことは承知…。
そして、下が仮完成版です。(12/21追加)
Splatoonの「イカすアートブック」pp.34-35から、本書でもっともイケメンだと思うボーイを模写したものです。
カラフルさが持ち味のゲームですが、鉛筆画にしてみると、これはこれでなかなか味が出るものでしょ。
ゲームのアートワークを作れるようになるために
わたしは漫画も好きですが、あれだけたくさんの絵を生産できる気はさすがにしないですし、
大量に絵を描くことを前提にしたコマ割りを作って行かないとたぶん面白くなりません。
ですから、もうちょっとライトに楽しめるゲームのアートワーク作りを、最近ちょこちょこと進めています。
やるからには上達したいし、ちょっとしたクリエイティブをすぐ紙の上に起こせるようになりたいものですが、
なかなか構図を自分で取ったり、細部を思い出して描くということが出来るようになりません。
そこには、「作品ごとに違うデフォルメのスタイルを覚えて行かなければいけない」という事情があるように思います。
その世界のキャラらしく見せるコツを掴まないと、それらしく見えてこないという訳ですね。
写実は物差しとして機能する?
わたしはデフォルメされたゲームのアートワークを作るのが一番興味があるので、現実と同じように表現するということにはあまり興味がありません。
でも、現実の骨格なり、人の身体のバランスを意識することが出来ると、それは一から歪みのない絵を作り上げる役に立ったり、デフォルメを読み解く比較対象になりますから、
一つの物差しとして、身に付けておくべきものだとは思っています。
ただ、絵を描くことにあまり時間が取れないので、人体を描くトレーニングなどには時間が取れなかったり。
代わりに、「シオカラーズ」の一番有名なアートワークを模写している時、鼻と口だけリアルな描き方をしてみたりして、
ちょっとここには上げられない代物が出来上がったりしています。(見慣れると、アリなんですが)
描くからには、その世界観らしいものを
この記事では頭身やデフォルメの話を取り上げましたが、ほかにもシーンの設定や、構図、色使いなどといったところに、そのゲームらしさを出すことが出来るように思います。
小説を書く時と同様に、その舞台の中のキャラクターについて想像し、
「こういうシーンがあっても良いのではないか」というものを、どんどん生産して行けたら楽しそうですね。
でも、その境地に辿り着くことが難しい。
絵を描くことにおいて、模写をしたりして描き方を「学ぶこと」と、自分で見え方を「創る事」は、相反することのようにすら思えます。
学んでいては創れない。創っていては学べない。ううん、悩ましい。
もしかすると、この道を歩いていくには「よい教材」と「先生」が必要なのかもしれません。
おまけ - 半オリジナルなアートワーク
いわゆる「トレース」に近いものだと思うのですが、Webにある画像(まったく関係なし)を参考に構図を決めたりしています。
下記はそのような画像。
元絵はたしか理容師のお姉さんか何かだったかな…。上半身の見え方とアングルだけ頂いて、下半身は勝手に付け足して描いたものです。
下手なうちは構図を自分で決めたりせずに、こういう「半オリジナル」な絵をたくさん描くのも良い修行かと思っています。
その際も、デフォルメ(完成形)と写実(モデル)の読み替えが重要になります。
この絵は、ちょっとモデルに引っ張られて頭身高めになっていますね。5頭身ぐらいに仕上げたいところです。